地球の原点

ちょっと連載はお休みして、雑談を。

昔、「世界の中心で愛を叫ぶ」という映画がヒットしたことがありました。
もちろん、見てませんし、ふわ~っとしたあらすじくらいしか知りません(笑)
そこは話の本筋ではないので、今は割愛します。気になる人はググってください。
ただ、そのタイトルを初めて耳にしたとき、「世界の中心ってどこなんだろう」という疑問が頭をよぎったのは、はっきり覚えてます。
今回は、そんな「世界の中心」についてのひとつの回答案というお話です。

「中心」って何?

で、「世界の中心」についてです。

「世界」は、まあ世界ですよね。
地球上とか地表面といってもいいと思います。
問題は「中心」です。

とりあえず、エグザ先生にも聞いておきましょう。

「世界の中心」という言葉は、非常に多義的で、文脈によって様々な解釈が可能です。

1. 物理的・地理的な「中心」

  • 地球の地理的中心: 地球儀や地図上で、何らかの測量基準に基づいて算出される物理的な中心点。しかし、これは均質な球体でない地球において、厳密な一点を特定するのは非常に難しいです。大陸や海洋の分布によっても中心の捉え方は変わります。
  • 特定の地域や領域の中心:
    • 大陸の中心: ユーラシア大陸の中心点、アフリカ大陸の中心点など。
    • 国の中心: 日本のへそ(本州の真ん中あたり)など、その国の地理的重心を指す場合があります。
    • 都市や建築物の中心: ある都市のランドマーク的な中心地(例: 東京駅、タイムズスクエア)や、建築物の物理的な中心。

2. 比喩的・象徴的な「中心」

この用法が最も一般的で多様な解釈を持ちます。

  • 文化・文明の中心:
    • 歴史的に見て、ある時代の文明や文化が最も栄え、影響力を持っていた地域や都市。
      • 例: 古代ローマ(ローマ帝国)、古代ギリシャ(アテネ)、中世のエルサレム、ルネサンス期のフィレンツェ、近現代のパリ(芸術)、ニューヨーク(金融・文化)。
    • 特定の分野における最先端やトレンドの発信地。
      • 例: 「ファッションの中心地」「IT産業の中心地」。
  • 権力・政治の中心:
    • 国家の首都や、国際的な組織の本部など、意思決定が行われ、権力が集中する場所。
      • 例: ワシントンD.C.(アメリカの政治の中心)、ブリュッセル(EUの本部)。
  • 経済活動の中心:
    • 金融、商業、貿易などが集中し、経済活動が活発な都市や地域。
      • 例: ニューヨークのウォール街、ロンドンのシティ。
  • 思想・哲学の中心:
    • ある思想体系や哲学の中心的な概念、あるいはその発祥の地や主要な学派が存在した場所。
  • 個人的・主観的な「中心」:
    • 自己中心: 自分自身が全ての物事の中心であると考える、いわゆる「自己中心的」な考え方。
    • 感情的・精神的支柱: ある人にとって、最も重要で、その人の存在意義や幸福感に深く関わる人や物事、あるいは場所。
      • 例: 「あの人こそが私の世界の中心だ」という表現。
    • 焦点・注目点: あるイベントや状況において、最も注目を集めたり、全てがその周囲で展開される主要な要素。
      • 例: 「彼のスピーチが今日のイベントのまさに世界の中心だった」。

このように、「世界の中心」という言葉は、単なる地理的な一点を示すだけでなく、歴史、文化、権力、経済、そして個人の内面といった非常に幅広い文脈で用いられ、その意味合いは常に変動し得る、非常に示唆に富む表現であると言えるでしょう。

なるほど。
一応聞いてみただけで、答えはもう出てるんですけどね(笑)
今回、「世界の中心」として提案したいのは、地球上を座標平面に見立てた時の「原点」つまり、

(X,Y)=(0,0)

の地点です。
さて、どこでしょう?

地球上のXY座標と言えば、アレですよね。
そう、経度と緯度です。

ご指摘のように、緯度経度は位置を特定する上で最も普遍的な方法です。しかし、「世界の中心」を緯度経度ともに (0∘,0∘)(0∘,0∘) の地点と見なすのは、測位システムの基準点と、地理的・概念的な「中心」とは異なるという理由から、必ずしも自然とは言えません。

詳しく見ていきましょう。

緯度・経度と (0∘,0∘)(0∘,0∘) 地点

  1. 緯度 (0∘0∘): 赤道
    • 赤道は、地球の自転軸に対して垂直に地球を二分する仮想の線であり、南北の対称性の中心として 自然科学的に非常に重要な基準点です。
    • これは地球の形状と自転に基づいているため、普遍的に (0∘)(0∘) 緯度として採用されています。
  2. 経度 (0∘0∘): 本初子午線
    • 経度 (0∘)(0∘) の本初子午線(グリニッジ子午線)は、人為的に決定された基準点です。
    • 歴史的には、各国が独自の基準子午線(パリ子午線、ワシントン子午線など)を使用していました。
    • 1884年の国際子午線会議で、当時の海洋大国であったイギリスのグリニッジ天文台を通る子午線が国際的な基準として採用されました。これは、政治的、経済的な理由が大きく、地理的な必然性から選ばれたわけではありません。

(0∘,0∘)(0∘,0∘) 地点の地理的特徴

  • 緯度 (0∘)(0∘), 経度 (0∘)(0∘) の地点は、アフリカ大陸の西岸、ガーナ沖のギニア湾上に位置します。
  • この地点は、海洋上にあり、特定の陸地や大陸の地理的な中心を意味するものではありません。

「世界の中心」の多様な解釈

したがって、緯度経度の基準点である (0∘,0∘)(0∘,0∘) は、単に座標系の原点であり、それをもって「世界の中心」と呼ぶのは適切ではありません。むしろ、地理的な「中心」という概念には、以下のような多様な解釈があります。

  • 陸地の重心: 地球上の全陸地(大陸や島々)の面積を考慮した重心。これは計算方法によって多少異なりますが、通常はユーラシア大陸の中央部(例えばトルコやロシア周辺)になると考えられています。
  • 人口の重心: 地球上の人口分布を考慮した重心。これは経済発展や人口変動によって常に移動しており、現在は中国やインドを含むアジア地域に位置するとされています。
  • 特定の文脈における中心:
    • 地政学的な中心: 勢力均衡や戦略的な要衝。
    • 文化的な中心: ある文明や思想が栄えた場所。
    • 歴史的な中心: 過去に重要な出来事の中心となった場所。
    • 個人的な中心: 「世界の中心で、愛をさけぶ」のように、個人の感情や経験に基づく主観的な中心。

まとめると、緯度経度は地球上のあらゆる地点を数学的に表現するためのツールであり、その原点である (0∘,0∘)(0∘,0∘) は、あくまでそのツールのための任意に設定された基準点です。それに対して「世界の中心」という言葉は、地理的、人口的、文化的な意味合いを持つことが多く、また非常に主観的で多義的な概念であるため、(0∘,0∘)(0∘,0∘) とは結びつきません。

全否定された(汗)
いいんです。気にしません!
今回はあくまで、世界の中心は緯度経度座標系の原点ってことで話を進めます!

どこにあるのか

このとき、原点(0,0)はどこになるでしょう?Tableauで描いてみましょう!

このあたり。アフリカのガーナの沖、約617kmの公海上だそうです。

ちなみに、地理情報システム(GIS)の世界では、この (0∘,0∘)(0∘,0∘) の地点はしばしば「Null Island(ヌル島)」と非公式に呼ばれ、データエラーのデバッグなどで使用される仮想の場所としても知られいるのだそうです。

何が嬉しいのか

ココですよね、だいじなのは!

私たちがいま、一般的に使っている地図は、ほぼだいたいメルカトル図法という表記で描かれています。緯度と経度がどこでも直行するアレです。
この図法って、極点に近づくほど1度あたりの東西の距離が短くなるので、面積が正しく表示されないなどの、問題もあるのですが、そこは、おいておくとして。Tableauも同じく、この図法を採用しています。ということは、地図を座標平面と見立てることにより、任意の地点を緯度経度の数値情報で扱うことができる。つまり、

地図上であることを無視して、単純な座標平面として取り扱うことができる。

たとえば、前述の地図上に★を書いたように、任意の位置に任意のオブジェクトをプロットすることができるようになります。
具体的には、TableauのMAKEPOINTという関数を使って

MAKEPOINT(緯度,経度) 

緯度は-90~90までの小数
経度は-180~180までの小数

この感動、伝わりますかね。伝わんないかなぁ^^

ざっくり簡単に言うと、Tableauを真っ白のキャンバスとして、好きな絵を描くことができるってことです。
というか、Tableauって、フランス語で「絵画」って意味だそうで、なんか「原点に回帰したな~」って、ちょっと感慨にふけっちゃいました。

このテクニックで何異常ができるのか、まだまだ、できることがたくさんありそうなTableauの一面でした。

今日のブログは以上です!

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